これだけで十分!問題解決で活用できるフレームワーク6選【事例付き】
ビジネスシーンで役に立つフレームワーク。
業務上の問題を効率よく解決するための手助けになりますよね。
でも、今では数多くのフレームワークが開発されているため、どれを使えば良いのか、迷うこともあると思います。
当記事では問題解決の際にこれだけは知っておきたいというフレームワークを6つ、事例を交えながら紹介していきます。
- 新入社員でも成果を上げたいの方
- 論理的に考える方法を知りたい方
- ご自身のビジネススキルを高めたい方
私は製造業の現場で問題解決の手法を駆使して業務を進めています。
漏れなく、ダブりなく問題を効率的に解決するために様々なフレームワークを利用しますが、特に多くの場合で利用する6つを紹介いたします。
特に新入社員の方にはこれだけ知っていれば、同期との差別化も可能だと思いますよ。
フレームワークとは?
まずは、フレームワークというものについて説明します。
ビジネスにおけるフレームワークとは経営戦略の策定などの場面で役立つ「分析ツールや考え方としての枠組み」です。
人間、考え方にはそれぞれ、癖を持っています。その癖は自分では気づきにくく、多くの場合で物事を分析した際の「解」に偏りを生じさせてしまいます。
その対策として使うツールがフレームワークです。
「決まった枠組み」に当てはめて考えることで、思考の癖に捉われず、漏れやダブりの無くすして「解」を導けます。ビジネスシーンだけでなく、日常でも使えるものが多いというのも特徴ですね。
では、実際に問題解決の場面で活躍するフレームワークを紹介していきます。
3C分析
3C分析は企業の業界分析に用いられる非常に有名なツールです。
注意点も含めて、簡単に説明していきます。
3C分析とは?
Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(業界・競合)と3つの特徴を把握するためのツールです。その頭文字をとって「3Ⅽ」と呼ばれています。
この3つを事実を基に深く分析することで、漏れなくマーケティング戦略を策定することができます。
3C分析の注意点
多くの方がご存じの3C分析ですが、注意点として以下の3つを覚えておいてください。
- Customerは「市場」と「顧客」を分ける
- Competitorも「業界」と「競合他社」を分ける
- 穴埋めで終わらない
市場の中に顧客、業界の中に競合他社がいる2層構造であることを把握しておきましょう。この部分を曖昧にすると、自社が攻める部分を誤ってしまいます。
また、それぞれの特徴を出すだけで終わりにするのではなく、3つの特徴をつないで考えることも大切です。コストや品質などの論点を統一し、ストーリーを描くつもりで分析すると思い通りの解が得られるでしょう。
3C分析の活用事例
マーケティング戦略としてよく知られていますが、どんな場面においてもこのフレームワークは利用できます。
私自身、製造業で問題解決する際に、3Ⅽ分析を「環境」、「自分」、「相手」の3つとして応用することが多いです。
では、その3Ⅽ分析を子育てでイライラしてしまう時の心理面に当てはめた事例を以下に載せます。
家庭環境と親、子供という点で分けて親子の意見の違いから生じるイラ立ちを分析しました。
先ほどの注意点で触れたように、3つの要素を「意見の違い」という論点に絞って分析することで、イラ立ちの原因は子供ではなく、親にあるということを導いています。
最終的なストーリーを意識するだけで、精度は上がりますよ。
詳細な分析は以下を参照下さいね。
N5分析
N5分析は問題の根源を探し出す手法として利用されています。
N5分析とは?
ある物事に対し、「なぜ?」と5回繰り返して、その真因を探るという方法です。
問題の発見時には表面的な部分しか見えないことが多いですよね。その部分をあいまいなままにすると、再発のリスクが高まります。
その問題の根本原因を探るべく、「なぜ、そうなる?」ということを5回繰り返すと、多くの場合、真因が見えてきます。
この手法はトヨタの現場改善の中で進められてきた方法なので、製造業では一般的ですが、他の業種ではなじみが薄いかもしれませんね。
N5分析の活用事例
実際になぜ?と繰り返した事例を示して説明します。
下の図は兄弟喧嘩が起こる理由としてN5分析した事例です。
この場合、兄弟間で「自分が一番になりたい」という心理面の感情を深掘りしました。
個々の分析では上から順に「優位」→「邪魔」→「親からの愛」→「平等」という部分に着目し、その原因を深堀しています。
その結果、もともと子供の喧嘩でしたが、真因は親にあることが見えてきますよね。このように意図しない真因が見えてくることもN5分析のメリットです。
この利用事例は以下を参照ください。
SWOT分析
マーケティングにおいてよく利用されるSWOT分析も問題解決に応用できます。
SWOT分析とは?
企業や事業、個人の現状を外部要因・内部要因に分けて分析することで現状を正しく、効果的に把握するためのフレームワークです。
以下のように対象の特徴を4つの項目に分類して埋めていきます。
◆Strength(強み):内部要因のプラス要因
対象の持っている要素のうち、武器となりうるもの
◆Weakness(弱み):内部要素のマイナス要因
対象の持っている要素のうち、弱点となりうるもの
◆Opportunity(機会):外部要素のプラス要因
外部の環境で、対象の追い風となるもの
◆Threat(脅威):外部要素のマイナス要因
外部の環境で、対象の妨げとなりうるもの
これらの頭文字をとってSWOT分析と呼ばれます。
SWOT分析の活用事例
SWOT分析に限りませんが、分析する際は目的を持って行うことが大切です。
以下に「ウサギとカメ」を開設した際に用いた、カメのSWOT分析を基に説明していきますね。
カメの強み、弱みを外部・内部に分けてマトリクス上に記載していきます。
ただし、特徴を数多く列挙しただけでは分析の方向性が見えません。そのため、ここで意識したことは「ウサギに対してどうか?」という視点を持って分析しています。
ここではスピードや五感という身体的特徴に絞って書き出しています。
ウサギのSWOT分析含めて詳細な分析結果は以下の記事を参照くださいね。
帰納法・演繹法
論理展開する上で重要な考え方が帰納法と演繹法です。
難しい言葉に見えますが、日常的に使っている考え方なので、理解できると思います。
帰納法とは?
いくつかの観察事項の共通点から「ルール(一般論)」を導く方法です。
上に示す図ではどの店舗でも気温が27℃以上の際はアイスが売れていることから、「27℃以上ではアイスが売れる」ということが言えます。
この結果を導くにあたり、前提知識や想像力が必要となります。この場合ではアイスの形状や販売方法などの知識も知っておくと比較しやすいですよね。
また、共通項でない部分は偶然の要因として、ルールから除外するということも合わせて覚えておきましょう。
扱うデータにもよりますが、個人的にはこの除外が重要だと思います。分析の初めから膨大なデータを眺めても、時間がかかります。いくつかの要素を除外し、情報をスリム化することで精度の高いルールを導けるようになりますよ。
演繹法とは?
帰納法とは異なり、ルール(一般論)がある中で観察事項(事象)との関連から主張を導く思考法です。
上の例では、27℃以上でアイスが売れるという一般論から、明日の予想気温が29℃という事象をもとに「明日はアイスが売れる」と主張することができます。
留意点として「隠れた前提条件」には注意が必要です。この場合、もし明日が雨の日であれば、売上は落ちるかもしれません。気温という1つの要素に囚われ過ぎないことが主張の精度を上げることにつながりますよ。
帰納法の活用事例
映画「となりのトトロ」に出てくる「ねこバス」の出現条件を帰納法を用いて、洗い出してみました。
図にすると、こんな感じです。
劇中ではねこバスが2回出現していますので、その共通点を出しています。
いずれもトトロが呼び出していることから、トトロに会うことが重要であるといえるでしょう。
一方、除外される部分として、雨のバス停ではメイとさつきがねこバスに乗ることを望んでいなかったことから、「乗りたい」という気持ちも不要であることが推測できます。
このように共通項とそうでない部分を分けることで、ルールを正確に把握していきましょう。
バリューチェーン
事業の流れに着目したバリューチェーン分析も幅広く応用できるので、便利ですよ。
バリューチェーンとは?
バリューチェーン分析は事業活動を機能ごとに分類し、付加価値の源泉を探るフレームワークです。例えば、製造業では以下のような流れになります。
機能を分類するだけでなく、それぞれの役割やコスト、事業への貢献度を分析することが目的になります。
分析を通して得られた付加価値の高い機能について、差別化を図ることで競合より優位に立つことができるのです。
これは業界全体というマクロから、会社内の一部門というミクロの分野まで幅広く適用できるというものメリットですね。
バリューチェーンの活用事例
「バリュー」という言葉通り、よくコスト構造ばかりに注目されますが、ある取り組みの流れを理解することにも応用できます。
問題解決の場面ではどのタイミングで問題が起きているのかを具体化することにも役立ちます。
以下に食べすぎてしまう際の心理面を食事の流れに沿ってまとめてみました。
まず、流れを理解することが大切です。細かく書き出すことで、食事における感情の変化を見える化できます。
この中で「食べすぎ」の問題に最も影響を及ぼすのは食前の食欲が大きくなる瞬間であることが分かります。そのため、その食前の対策を検討することで食べすぎも十分に改善できると説明しました。
ロジックツリー
最後は思考を深める時に利用するロジックツリーです。
ロジックツリーとは?
上位概念を漏れなく、ダブりなく下位概念に分解していくための思考ツールです。
問題解決で、本質的な問題を絞り込む場合や課題に対する解決策を考える場合で活用できます。下位概念に落とすにつれて枝葉のように事項が分かれていくことから「ツリー」と言われています。
私が利用する中で特に実感しているメリットを3つお伝えします。
- 全体と部分との関係が見える
- 得られた事項から仮説を立てられる
- 自分の頭の中を整理し、論理思考が身に付く
このロジックツリーでは様々な分野において、複雑な問題を解決する際に頻繁に用いられています。
ロジックツリーの注意点
活用しやすい一方、注意点もあります。
ここでは以下の2点を覚えておきましょう。
MECEに分ける
ロジックツリーでは初めの分類が重要です。
感度の良い分析を行うために、初めの切り口が上位概念を漏れ・ダブりのないMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)に分け、下位概念に落とし込みましょう。
この点が抜けていると、書き出した論理に抜けが出てしまいます。
書き出した後に確認する
実際に書き出すことで頭の中を整理することができます。
上位から下位に落とす際はロジカルに「なぜ?、どうして?」という視点でくみ上げていくと思います。
ここで終わりにするのではなく、下位から上位に向かって「本当にそうなる?」と批判的に確認することが重要です。これをクリティカルシンキングと言います。
書き出すことに満足するのではなく、各事項に繋がりがあることや論理的なツリーになっていることを確認しながら、進めていきましょう。
ロジックツリーの活用事例
ロジックツリーではMECEに分類することが大切なので、初めの分類は先ほど紹介した3Cの他に、4P(Product、Price、Place、Promotion)や4M(Man、Method、Machine、Material)、PESTなどの枠に当てはめると漏れなく利用できると思います。
では、以下にバイキンマンが負けてしまう理由の解析事例を載せます。
この場合は初めの分類を3C分析で漏れが無いように、分けています。
アンパンマン(Competitor)、バイキンマン(Company)、戦闘環境(Customer)として分けた後に、N5分析でそれぞれの理由を深堀しています。
このように各要素を深堀し、影響度合いの大きな理由を見つけ出すことができます。
この例では、左の「アンパンマンの勇気の花」と「バイキンマンのコミュニケーション能力の不足」が主要因と考えました。
フレームワークを使い倒そう
当記事では問題解決力を養うときに利用できるフレームワークを事例を交えながら、紹介しました。
- 3C分析で現状把握しよう
- N5分析で問題の真因を探ろう
- SWOT分析で対象の特徴を把握しよう
- 帰納法・演繹法で一般解や主張を導こう
- バリューチェーンで強み弱みの工程を見つけよう
- ロジックツリーで漏れなくダブりなく思考を深めよう
今回紹介したフレームワーク以外にも有効な手法は多々あります。私はこれらをグロービズ経営大学院の学び放題で勉強しました。
オンラインの動画配信サービスなので、空き時間にサクッと学べるので、おすすめです。今は7日間無料で超上質な講義を受けられるので、気になる方は覗いてみてくださいね。
しかし、大切なことはフレームワークを知っていることではなく、使いこなすことです。もし、ビジネスシーンだけでなく、日常の問題においても、実践してみてくださいね。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
そんな皆さんに感謝いたします。
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