ストレス社会を生き抜くための対策 生活習慣を見直す具体的な方法
ストレスの多い現代社会では、対策しないと知らず知らずのうちに自分の「心」を削っていくことにつながります。
心が壊れると、その修正には多大な時間を要します。
本記事ではストレスフルな社会を生き抜くために日常生活で取り組みたい対策を紹介していきます。
- 日常に疲れを感じている方
- 心が休まらないと感じている方
- 何事もネガティブに考えてしまう方
- 生きていることが辛いと感じている方
メンタルヘルスマネジメントを勉強した私がその具体的な方法を紹介していきます。
記事の執筆にあたり、「心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書」を参考にしています。
著者は筋トレ社長こと、Testosteron(テストステロン)氏。
本書では精神科医の岡琢哉先生監修のもと、エビデンスを交えながらわかりやすく、対策を紹介していきます。
心を守るための対策
ストレスフルな社会ではメンタルが病んでからの対処療法よりも心を壊さない予防法の方が効果があります。
メンタルヘルスでは治療に数年かかりますし、最悪の場合、一生かかっても治らないケースもあります。
そのための対策・軽減方法として以下の6点が挙げられます。
- 睡眠
- 運動
- 食事
- 休養
- リラクゼーション
- 認知行動療法
「休養」は『休む』『養う』こと。「休む」は心身の疲れをとり、エネルギー補給することで、「養う」は豊かで余裕のある心持ちにすることです。
「リラクゼーション」はリラックスにより、ストレスからの悪影響を予防するには効果的です。深呼吸やヨガ、アロマテラピーなどの方法があります。
「認知行動療法」は認知と行動の両面からの働きかけにより、セルフコンロトールを高める心理療法です。ストレス反応に対して①認知、②気分、③行動、④身体反応と細分化して、自分の状態を認知し、行動によって予防していくという方法です。
この3点もストレスを感じた時には効果的な対策ですので、覚えておいてくださいね。
本記事では残りの食事・睡眠・運動という3点に着目していきます。日常生活を見直すことでストレス社会を生き抜く生活基盤を整えていきましょう。
※)以下に紹介する対策には個人差があります。数字で示していますが、実際に試してみて合わないと感じたら、すぐにやめた方がいいです。
食事による対策
うつ病と聞くと、げっそり痩せているイメージを持たれると思いますが、実際には以下のようなケースから、体重が増加する場合もあります。
- アルコールへの依存
- 過食によるストレス発散
- モチベーション低下に伴う活動量の低下
実際にうつ病患者の中には肥満体系の方(BMIが25以上の方)が有意に多いという報告もあります。
※)なお、BMI(Body Mass Index)とは、肥満度を表す体格指標で、体重(kg)を慎重(m)の2乗で割った値です。詳細やご自身の算出はこちらを参照ください。
細身であっても、肥満であっても、メンタルヘルスとしては不健康になるため、適正な体重を維持することが大切です。
では、その具体的な対策を3つ、紹介していきます。
マクロ管理法で食事管理する
「You are what you eat」”あなたはあなたの食べたものでできている”
これは英語のことわざですが、食事の重要性を言い当てていますよね。
しかし、自分に適した食事量が分からないと思います。
そこで、一つの解として「マクロ管理法」があります。
1.タンパク質(g)は体重(kg)の2倍
2.脂質は総カロリーの25%
3.炭水化物で残りの総カロリーを補う
日々の活動量や性別、年齢にも影響を受けますので、こちらから確認してみてください。
算出された値は商品の栄養表示やウエブサイト「カロリーSlism」、アプリ「あすけん」を参考に食生活を管理しましょう。
たんぱく質を摂取する
たんぱく質は体の構成や筋肉増強だけでなく、メンタルヘルスにも影響するため、摂取したい栄養素。
ここではその必要性と摂取量の目安を紹介します。
たんぱく質の必要性
日本人の食生活は白米や食パンに代表される炭水化物に偏りがちで、たんぱく質が足りていないという指摘もあります。
このたんぱく質は摂取量を増やすほど、食欲を抑えるという研究結果もあり、自分の適正体重を維持するためにも心がけたいところ。
ごはん大盛りやラーメンの麺増量は食べられますが、たんぱく質の多い肉や魚、卵をたくさん食べるというのはかなり難しいですよね。
また、必須アミノ酸(たんぱく質を構成する栄養素)の一つで、肉に多く含まれるトリプトファンは血中濃度の高さとメンタルヘルスには関連があるとされています。このトリプトファンは精神を安定化させるセロトニンの材料になることから、お肉は積極的に取るようにしましょう。
たんぱく質の摂取量
では、たんぱく質は際限なくてべても良いのでしょうか?
先ほどのマクロ管理法では体重1kgに対し、1日のたんぱく質の摂取量は2.0gと設定されていますが、厚生労働省は身体活動レベルによって目安を定めています。
Ⅰ.生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
Ⅱ.座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合
Ⅲ.移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合
(厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)より筆者作成)
2020年現在ではたんぱく質摂取量を増やしても健康な人であれば、問題ないとされています。しかし、以前は腎機能に害を及ぼすということが危惧されていたので、上記の表を参考に過剰摂取にならないよう心がけてくださいね。
生の野菜・果物を食べる
野菜の摂取もメンタルヘルスには効果があります。
野菜や果実の摂取量を増やしたグループは食生活を変えなかったグループに比べ、幸福度や人生の満足度が向上したという研究があります。
WHO(世界保健機関)も1日400gの野菜と果物の摂取を推奨しています。
一方、これは加工していない野菜を対象としています。缶詰のフルーツではその効果が無いという報告もあるので、新鮮な生の野菜・果物が適していると言えるでしょう。
睡眠による対策
人間の生命維持にかかわる欲求の一つに「睡眠欲」があります。
この欲求を満たすことは脳科学的にも大きな満足度を得られることが分かっています。
それだけ重要な睡眠ですが、メンタルの強化には具体的に以下のような対策が適しています。
- 睡眠時間の確保
- 平日も休日も就寝・起床時間を変えない
- 朝日を浴びる
それぞれ、説明していきます。
睡眠時間の確保
1日最低でも7時間は寝るようにしましょう。
人間は睡眠中に脳の休養、記憶の整理を行っております。睡眠不足でそういった脳の休息が足りなくなると、精神的に不安定になり、うつ病や不安障害を発症する危険性が高まります。
WHOは、人間は1日8時間の睡眠が必要ということを発表しています。
日本人の睡眠時間は先進国の中でも最も少なく、6.5時間程度だそうです。質を上げることも同時に必要ですが、まずは絶対量として7時間は寝るようにしましょう。
なお、大塚製薬のこちらの記事も7時間寝ることの重要性を示唆しています。
平日も休日も就寝・起床時間を変えない
平日や休日にかかわらず、365日就寝時間と起床時間を同じにしましょう。
これは睡眠の質を上げる方法です。質を上げるためには毎日、同じ時間に就寝し、同じ時間に起床する習慣を身に付けることが望ましいです。
睡眠はそのリズムが大切です。
休日に朝寝坊してしまうと、それだけの時間が時差ボケとして発生するため、リズムは乱れます。
就寝時間と起床時間を固定して、睡眠の質を上げるよう努めましょう。
朝日を浴びる
起床後、朝日を浴びることで体に朝がきたことを覚え込ませましょう。
これは睡眠を促すメラトニンというホルモンは光を見ることでリセットされるからです。
メラトニンはリセットされてから、12~15時間ほどで分泌されて眠気を誘います。6時に起きれば、夜10時には眠くなるといった感じです。
このメラトニンの眠気に合わせて眠りにつくと、良質は睡眠を得ることができるため、精神の安定にもつながるのです。
運動による対策
3つ目は運動です。
こちらも日常生活に取り入れることで、メンタルの強化につながります。運動を行う人の方が行わない方に比べ、精神状況が安定する日の割合が40%も多いという報告もあります。
しかし、ストレスに強くなるため運動と言っても、イメージしにくいと思います。
そこで、具体的な運動の量や種類、取り組み方について紹介していきます。
1週間に6時間以内の運動
ランニングや筋トレもその量が多いからと言って、メンタルの強化につながるわけではありません。
オーバーワークになると、筋肉量も減少しますし、疲労がたまることで日常生活に支障をきたす可能性があるからです。
運動自体は時に疲労・辛さを伴います。そのため、「ストレス解消のために運動しなくちゃ」と義務感にとらわれて取り組むより、自分が好きなスポーツを適度に取り組みましょう。
嫌々やっても、続きませんし、かえってストレスになるだけです。楽しむことが最も大切ですよね。
運動時間が1週間6時間を超えると、逆にメンタルヘルスが悪化すると考察づけています。そのため、自分が好きなスポーツを1週間に6時間以内を目安に行いましょう。
運動の種類は筋トレでも有酸素でも両方でも可
メンタルヘルスの観点からすると筋トレなどの無酸素運動もランニング・ウォーキングなどの有酸素運動も効果に差はありません。
「運動」というと、筋トレを想像する方もランニングを想像する方もいらっしゃると思いますが、皆さんのライフスタイルに合わせて、選択しても構いません。
具体例を挙げてみましょう。
- お腹回りが気になる方はランニングしてみる
- 痩せ気味で見た目に自信が持てない方は筋トレする
- 時間に余裕があるなら、筋トレもランニングも取り組む
筋トレ+有酸素はメンタル強化の相乗効果があるため、時間があれば、両方とも取り組むことをおススメします。
週3回、30分の運動習慣を身に付ける
上記2点を踏まえ、週3回、30分の運動習慣を身に付けていきましょう。
実際に週3回、30分間、全力の70-85%の強度のウォーキングやジョギングを行った場合、うつ病の治療薬と同等の効果が得られたという研究もあります。これは運動により分泌されるホルモンが不安を吹き飛ばしてくれるからです。
ランニングの効果について、スポーツ精神科医の岡本氏の記事にも記載されています。
しかし、ビジネスパーソンや子育て中の方はそこまでの時間を確保するのは難しいと思います。そこで、おススメの始め方を紹介します。
- 週に1度、家の周りを散歩する
- 帰宅時は1駅手前で降りて、歩いて帰る
- 10分だけ筋トレ(腕立て、腹筋)に取り組む
自分にできる範囲で構いません。義務感にとらわれることなく、最初は小さく始めていけば、良いのです。その運動を習慣化していき、最終的には週3回、30分の運動習慣を身に付けていきましょう。
ストレス社会を生き抜こう
本記事ではストレス社会を生き抜くための対策について紹介しました。
- 永遠に生きると思って食事管理しろ!
- 睡眠時間を死ぬ気で確保しろ!
- 運動はハッピーな人生の基盤になる
ワークライフバランスが注目されていることからもわかるように、日常生活の向上が仕事の成果にもつながってきます。
日常生活の改善がきっかけで、仕事の成果向上→自分の評価アップ→自分の幸福度向上というサイクルが回ると、ストレス社会でも元気に生き抜いていけます。
日々の生活にストレスを感じている方は本記事の対策を参考に今一度、自身の生活習慣の見直しをしてみてくださいね。
参考にした「心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書」ではこの他にうつ病や摂食障害、アルコール依存症の具体例を交えながら生活習慣の改善方法が記載されています。
是非参考にしてみてください。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
そんな皆さんに感謝します。
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