問題解決の事例|「トーマスが役に立つ機関車になる方法」を考えてみた
トーマスは世界で最も有名な機関車です。
いつも、「役に立つ」機関車になるために日々の業務をこなしています。
しかし、そのトーマスが働くソドー鉄道では毎回のように事故が起こり、その度に局長のトップハム・ハット卿が「混乱と遅れが生じた」と機関車たちを叱りますよね。
当記事ではソドー鉄道でトーマスが役に立つ機関車になるための方法を検討してみます。
- トーマスを観たことがある方
- トーマス好きのお子さんをお持ちの方
- 問題解決プロセスを勉強したいの方
私は製造業で日々、問題解決に取り組んでいます。
テーマはお遊びですが、混乱と遅れが生じる原因とその対策をまじめに考えてみました。
問題解決の手順や陥りやすい注意点はこちらの記事に記載してあります。
まず、こちらに目を通していただけると、当記事の内容も理解しやすいと思います。
機関車トーマスとは?
まずは機関車トーマスについて触れておきます。
ご存じの方も多いと思いますが、簡単に説明していきますね。
「トーマス」の概要
ソドー島を走るノース・ウェスタン鉄道(ソドー鉄道)を舞台に顔と意思を持った機関車たちが働く様子を描いた作品です。
その主人公が小さくて青い機関車、トーマスです。
いたずら好きのパーシーやお調子者のジェームス、それらをまとめるソドー鉄道の局長トップハム・ハット卿が様々なエピソードを繰り広げていきます。
元々はイギリスの「汽車のえほん」が原作で、映像も当初は人形劇でしたが、2010年から3DCGになっています。
日本ではフジテレビ系列で1990年10月に初めて放送されました。その後、世界中で翻訳され、多くの子供たちから愛されている人気キャラクターになってきています。
2020年ではNHKのEテレで毎週日曜午後5:30から放送されていますよね。
ちなみに声優さんはこれまで大きく変わってきていることをご存じですか?
- ナレーター:森本レオ → ジョン・カビラ
- トーマス :戸田恵子 → 比嘉久美子
- パーシー :中島千里 → 神代知衣
- ハット卿 :宮内幸平 → 青野武 → 納谷六朗 → 田中完
30~40代の方は森本レオさんの優しいナレーターが印象に残っている方も多いかもしれませんね。
興味のある方は昔の模型の作品も参考にしてみてください。
前提条件
問題解決に入る前に前提条件を設定しておきます。
先ほど示したようにトーマスは世界中の子供たちから愛されています。
そのため、以下のような夢の無い解は求めないとして進めます。
- トーマスの感情を無くす
- ミスしたときに罰を与える
- 運転手にトーマスを従わせる
あくまでも、トーマス自身が取り組める方法として考えていきますね。
では、問題解決のプロセスに入っていきましょう。
問題の明確化(What)
今回はタイトルにあるように「トーマスが役に立つ機関車になるためには?」と立てていますが、問題解決に入る前に『役に立つ』という言葉の定義を深堀していきます。
「役に立つ機関車」とは?
そもそも、トーマスは誰の役に立っているのでしょうか?
様々な憶測ができますが、私はトップハム・ハット卿だと考えています。
なぜなら、彼は事故を起こした機関車に対し、「お前たちは、役に立つことだけを考えていればいいんだぞ」と日々、声をかけているからです。
トップハム・ハット卿はソドー鉄道の局長として全ての機関車を管理しているため、彼のために働いていると言えると思います。
トップハム・ハット卿の役に立つとは?
では、トップハム・ハット卿のために働くとはどういったことでしょうか?
冒頭で示したようにこのソドー鉄道では局長のトップハム・ハット卿が予定通りに運航できなかった場合に「混乱と遅れが生じた」として機関車を叱ります。
言い換えると、混乱と遅れを起こさず、時刻表に従って運行すれば、トップハム・ハット卿にも怒られず、役に立つ機関車に近づけるということになりますよね。
そのため、ここでの問題を「トーマスが混乱と遅れを生まないためには?」と立て直してその解決策を考えていきましょう。
問題箇所の特定(Where)
では、どういった点が混乱と遅れを招く原因なのか、を考えていきましょう。
過去のトラブル実績
まず、どういった場合に混乱と遅れが生じるのか?を考えてみます。
こちらの記事に全490話の中で機関車たちが「やらかした」集計結果が記載されています。
全ての機関車が起こした事故の原因は以下の通りのようです。
- 不注意 68回
- わざと 36回
- 図に乗る 23回
- 自然災害 18回
- 短気 9回
この中からトーマスに着目すると、以下のようになります。
- 不注意 15回
- 図に乗る 6回
- わざと 5回
- 自然災害 1回
このように圧倒的に不注意が原因で事故を引き起こしていることが分かりますね。
つまり、トーマスの不注意が要因と考えられます。
不注意とは?
ここで「不注意」という部分に注目してみます。
製造業などでは不注意で起こったミスを「うっかりミス」として捉え、その予防を行っています。
そのうっかりミスの種類について考えてみます。
「省略エラー」:すべきことを忘れてしまう。
「実行エラー」:不要なことを実行してしまう。
「不注意エラー」:注意力散漫が原因で無意識のうちにミスする。
「思い込みエラー」:勘違いや早とちり。
この中で最もトーマスが陥りやすいのが、「思い込みエラー」です。
大きな事故にならなくても、トーマスが思い込みで行動した結果、混乱と遅れが生じたことは数多くありますよね。
例を以下に挙げてみます。
子供たちが雪だるまのために帽子を探していることを知ったトーマス。
帽子を渡せば子供が喜ぶと思い込んだトーマスは、駅においてある帽子を勝手に持って行ってしまう。
トーマスは行動力があるので、思い込みが大きなミスを招くことが多くなっていることが分かりますよね。
以上のように、問題箇所を考えてみたところ、トラブルはトーマスの不注意、中でも思い込みによるミスが影響していることが判明しました。
原因の追究(Why)
続いて、トーマスが思い込みで行動してしまう要因について深堀していきます。
皆さんの周りにもいると思いますが、思い込みの激しい人の特徴は以下の通りです。
- 固執しやすく、視野が狭い
- プライドが高く、自分が正しいと思いがち
- 気分の変化が激しい
- 反省や執着が多い
- 極端なポジティブ思考・ネガティブ思考
この中でトーマスの性格を見ると、主に「固執してしまう」、「視野が狭い」、「極端なポジティブ思考」という3点が特徴として見られます。
この3点を改善していけば、大きなミスを起こさない機関車になれそうですね。
解決案の立案(How)
では、先ほど挙げた3点についてそれぞれ、対策を考えてみましょう。
- ①固執してしまう
- ②視野が狭い
- ③極端なポジティブ思考
いずれも心理面の問題です。機関車の心理面の本は見たことがありませんが、ここでは人間の心理的問題に関する本も含めながら、対策しみてます。
なるべく、トーマスの世界で落とし込んでみていきましょう。
対策①役に立たなくても良いと言い聞かせる
トーマスに限りませんが、多くの機関車が「役に立つ」ことに固執していると思います。
この固執する心を取り除くには「役に立たなくても良い」と気楽に構えることが必要になります。
元陸上選手の為末さんも著書「諦める力」の中で100ⅿにこだわらず、ハードルに切り替えたことが結果として良い成果を得られたと述べていますよね。
トーマスも役に立つことばかりに固執せず、今与えられた仕事にのみ集中することで結果的に混乱と遅れを生じることなく、働くことができるでしょう。
対策②行動の前に周りの意見を聞く
2つ目は視野が狭くなっているときの対策です。
この点に関して少し深堀していきます。
行動を指摘してくれる存在
行動を起こす前にそれが正しいのか、ということを他人(他車)から指摘してもらうことで思い込みによる行動を抑えることができます。
ここで重要なのは、誰が指摘するのか?ということです。
ポイントとしては3点。
- トーマスの性格、能力を把握していること。
- 冷静な判断力を備えていること。
- トーマスへの影響力があること。
これらを考慮すると、まずトーマスが引く客車であるアニーとクララベルが浮かびます。彼女たちは共に冷静で時にトーマスの行動を指摘することがあります。
しかし、トーマスは耳を貸すことが少ないですよね。そして、勝手に思い込んで突っ走ってしまいます。
つまり、アニーやクララベルでは影響力が小さく、トーマスの行動を抑えることができないと言えるでしょう。
周りの意見を聞くためには
では、どうすれば、思い込みで行動を起こす前に踏みとどまることができるのでしょうか?
影響力のある人物やエミリーやヘンリーなどの冷静な機関車から指摘してもらえると良いのですが、そのためだけに1台を割り当てるのは非効率です。
そのため、誰かに頼るのではなく、トーマス自身が周囲の意見に耳を傾けるように、変わる必要があります。それにはこんな方法が考えられます。
- トーマス自身が「自分は思い込みで行動しやすいこと」を自覚する
- アニーやクララベルの指摘を聞き入れる習慣をつける
- 状況を俯瞰して考える癖をつける
まずは自分を理解した上で他人の意見を聞く姿勢や、冷静に状況を見る癖をつけると、少しづつ思い込みを減らすことができると思います。
対策③ネガティブ思考を取り入れる
心に余裕があるときはネガティブな思考を用いることも思い込みによるミスを防ぐために有効でしょう。
トーマスは非常にポジティブで楽観的です。しかし、過剰なポジティブ思考は「ポリアンナ症候群」と呼ばれ、現実逃避と言われることもあります。
※)ポリアンナ症候群に関しては以下の記事を参考にしてください。
トーマスのこういった感情は「危機感を緩くすること」につながり、結果として大きな混乱と遅れを生じさせてしまうのです。
その対策としてネガティブ思考を取り入れることが有効です。
具体的な方法は以下の3つ挙げられます。
- トーマスが自分を過信しない
- 役に立たなくても良いと考える
- 口癖を変える「大丈夫!!」→「大丈夫かな?」
対策①にもつながりますが、現実的な目線で行動できるようになると、ミスも減ってくると考えられます。
自分の発した言葉も自身の行動に影響を与えるので、余裕があるときには「大丈夫かな?」と少しネガティブな感情に触れることで冷静さを保ってもらいたいですね。
トーマスのように役に立つ人間になろう
当記事では「トーマスが役に立つ機関車になるための方法」について考えてみました。
- トーマスはトップハム・ハット卿の役に立つために働いている
- 多くミスは不注意、特に思い込みによる行動が原因
- 対策①役に立たなくても良いと言い聞かせる
- 対策②行動の前に周りの意見を聞く
- 対策③ネガティブ思考を取り入れる
思い込みを取り除くための方法もトーマスの世界に合わせて考えてみました。
しかし、トーマスの思い込みや 行動力は決して欠点というわけではありません。
最後にこんなエピソードも紹介します。
親友パーシーがブラスバンドを送迎する仕事ができるように助言するトーマス。
しかし、その仕事をトーマスが引き受けてしまい、パーシーに嫌われると思い込んでしまう。
最後はパーシーに送迎の仕事の半分を譲ることで仲直りするエピソード。
こういった学びが得られるのも、トーマスの良さだと思います。
2020年、トーマスは世界を旅する様子が描かれています。これからも世界中の子供たちに笑顔を届けるよう、役に立ち続けることでしょう。
今後の活躍に期待したいですね。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
そんな皆さんに感謝いたします。
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